上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

救急隊に活躍してもらうには医療機関側の受け入れ体制が重要

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 ただ、救急を担当している医師がそれを知らなかったり、忘れていたりすると、アッという間に20分くらい時間が経ってしまいます。中には、わかっているのにダラダラしている医師もいます。また、たまたま救急の当直をアルバイトの医師や看護師が担当していた場合、何をやらなければいけないかまったくわかっておらず、救急車が止まりっぱなしになってしまうケースもあります。あってはならない事態です。

 救急搬送の際、救急隊は患者さんの容体を見て適切な処置を行えるレベルの医療機関を5~6カ所くらいピックアップし、同時に連絡を入れるものです。それに対し、二つ返事で受け入れる医療機関に搬送します。かつての順天堂医院はベッドの確認などで3分くらい救急隊を待たせたり、受け入れを断って他の医療機関に回してもらうことも少なくありませんでした。また、いったん受け入れても、搬送してくれた救急車で再び他の医療機関に転院させるケースもありました。これは公共の救急車の本来の使い方ではありません。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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