上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

救急隊に活躍してもらうには医療機関側の受け入れ体制が重要

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 また、救急隊が搬送してくれた患者さんがその後どのような経過をたどったのかについてのリポートを共有できるようにしました。「自分たちがあの病院に患者を搬送すれば、ちゃんと救ってくれる」とわかれば、救急隊員のモチベーション向上につながります。こうした取り組みは救急隊も含めた救急全体のチーム医療が円滑に回るようにするために実施したものです。

 救急患者のほとんどは隣接地域からの搬送なので、大学病院が真に地域医療に貢献できるのが救急医療です。地元の住民に安心感を提供し、開業の先生方にも頼りにされることで、救急で活躍する医師や看護師のやる気が高まり、助かるだけでなく健康を取り戻せる患者さんが増えることにつながるのです。

◆本コラム書籍化第3弾「60代、70代なら知っておく 血管と心臓を守る日常」(講談社ビーシー)4月18日発売

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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