Dr.中川 がんサバイバーの知恵

大腸がん公表の橋爪淳さんは検便受けず後悔…早めの検査の重要性

(橋爪淳さんのインスタグラムから=右は筆者)

 大腸がんや胃がん、乳がんなどはステージ1なら9割治ります。それがステージ4だと、大腸がんは約2割、胃がんは1割以下、乳がんは約4割に低下。検査を受けず、早期発見のチャンスを失うのはもったいない。

 大腸がんは検便で済み簡単です。ただし、暑い時季は、採取後の冷蔵庫保管に加え、提出当日、移動に時間を要す方は保冷剤で冷やすこと。常温で持ち歩くと、潜血が分解され、検査で反応しない恐れがあります。

 橋爪さんは検便を受けていませんでした。いまは後悔し、早期発見の大切さを実感されています。その大腸がんや胃がん、肺がん、子宮頚がん、乳がんの5つのがん検診は世界的に延命効果が認められていて、受診をお勧めします。

 もうひとつは、早期発見とは逆説的になるかもしれませんが、過剰診断について。私が所属する総合放射線腫瘍学講座で作製した短編映画のテーマが「過剰診断」で、その主演をお願いしたのも橋爪さんでした。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事