橋爪さん演じた主人公は60代の男性で、主治医に前立腺がんの検査を勧められたことをキッカケに血液検査で前立腺がんのマーカーをチェック。それでがんが見つかり、主治医の勧めに従って摘出手術を受けます。術後の合併症に悩みながらも寿命を全う。天国への“関所”で手術は不要だったことを知ります。
過剰診断は、生命を脅かす必要のない病気を診断して見つけることを意味します。そうすると、必要ない、過剰な治療が行われるリスクが高い。前立腺がんはそんながんの典型で、治療せずに寿命を全うできるケースが少なくありません。
ですから橋爪さん演じた主人公にとって、前立腺がんは過剰診断で、手術は過剰治療。主人公の場合、術後合併症は、生きるために耐えるべきものではなかったというわけです。
つまり、検査と診断はどちらも過不足なく、適正であることがとても重要。私が今回のケースで皆さんに知ってほしいのは、早期発見の大切さがひとつで、もうひとつはその結果が過剰診断でないか疑いの目を持ってほしいということ。後者については、セカンドオピニオンが大切です。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵