今後も、新たな薬が続々と登場してきます。アミロイドPET検査で早くに将来の認知症発症のリスクを知り、対策を講じていくことで、万が一認知症を発症しても、そういった新たな薬を使えるチャンスを得られる可能性は高い。私はレカネマブの登場を、認知症治療において「ようやく夜明けが見えてきた」と捉えているのですが、どんどん“明るくなっていく状況”に対し、備えておくに越したことはないと考えます。
そしてこれは本連載でも何度となく強調していることですが、アミロイドβの蓄積が見られても、認知症を発症する前に、できる対策はたくさんある。
アミロイドβの蓄積が始まりとなって発症に至るアルツハイマー病は、その発症まで20~30年かかります。脳の神経細胞の死滅が起こるのは脳全体のほんの一部で、全てにエラーが生じるわけではない。つまり、アミロイドβの影響を受ける脳の場所「以外」の機能を高めれば、日常生活に支障が生じてくる時期をずっと遅らせることができるでしょう。
第一人者が教える 認知症のすべて