老親・家族 在宅での看取り方

当院スタッフが打ち明ける「自分が入院して初めてわかったこと」

写真はイメージ(C)i Stock

「入院しなくてもよいほど容体が落ち着いた」「寿命にあらがえないなら家族と一緒にいたい」「最期の時は自宅で好きなように過ごしたい」など、在宅医療を開始される理由は患者さんによってさまざまです。今回は、当院のスタッフのエピソードを紹介したいと思います。彼女は実際に入院を経験し、在宅医療の重要性を改めて感じたと話してくれました。

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 私は20代。8センチ台の脳動静脈奇形があります。これは、脳の中で動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながり、とぐろを巻いたような塊となる血管の病気で、正常な血管に比べて破れやすく、20代の脳卒中の原因のひとつといわれています。

 私の場合、てんかん発作をしばしば起こします。意識がある発作もありますが、ひどい時は2~3カ月に1回意識を失うことも。しかし、主治医には発作が起きるたびに救急車は呼ばなくてもよいと言われており、発作後は筋肉痛や倒れた際のぶつけた痛みはあるものの、ケロッと普段の生活に戻れます。意識がなくなったとしても、発作が起きた悲しみや恐怖は認識しているため、早く何事もなかったように生活したいものです。つまり病人らしく過ごすことも苦痛です。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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