合併症を抱えている患者さんの心臓手術をする場合も、処置の方法が大きく違います。欧米では通り一遍に手術の何日か前に入院して、合併症の管理をチャチャッとお手軽に済ませるだけで手術が行われます。当然、術中も術後もその合併症が足を引っ張るので、治療期間が長引いたり、考えていた通りの効果が出ないといったトラブルが起こりやすくなるのです。
日本の場合、合併症のある心臓病患者に対しては、かなり時間をかけて丁寧に合併症の状態をコントロールし、いい状態になるまで改善させてから手術が行われます。まるで、もう手術しなくてもいいのではないかと思うくらいまでしっかり管理します。
たとえば糖尿病を抱えている患者さんなら、これまでの人生でいちばん血糖コントロールがうまくいっている状態になってから、初めて心臓手術に向かうことができるのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」