糖尿病の患者さんで、心筋梗塞や脳卒中などの血管が詰まる合併症が多いことは広く知られています。しかしそれだけでなく、糖尿病はがんとも関連している事実が従来から繰り返し話題になっています。さらに糖尿病の厳しい治療による死亡の増加が、がんの増加によってもたらされている可能性があるわけです。
ただこの関連は、必ずしも糖尿病が「原因」でがんが「結果」であると明確になっているわけではありません。糖尿病の患者さんは定期的に医療機関を受診します。糖尿病と直接関係なく、単に医療機関を受診する回数が多いためにがんが見つかりやすいだけかもしれないのです。その半面、高血糖やインスリン自体に発がん性があることを示した研究もあり、結論は必ずしも明確ではないのです。
そこへ昨年、これまでの研究を網羅して検討した論文がイギリス医師会雑誌に掲載されました。その報告によれば、乳がん、胆管細胞がん、大腸がん、子宮内膜がんの4つについて、糖尿病の患者さんで危険が高いことが示されています。
医療数字のカラクリ