医療数字のカラクリ

4つのがんでリスクあり

 糖尿病の患者さんで、心筋梗塞や脳卒中などの血管が詰まる合併症が多いことは広く知られています。しかしそれだけでなく、糖尿病はがんとも関連している事実が従来から繰り返し話題になっています。さらに糖尿病の厳しい治療による死亡の増加が、がんの増加によってもたらされている可能性があるわけです。

 ただこの関連は、必ずしも糖尿病が「原因」でがんが「結果」であると明確になっているわけではありません。糖尿病の患者さんは定期的に医療機関を受診します。糖尿病と直接関係なく、単に医療機関を受診する回数が多いためにがんが見つかりやすいだけかもしれないのです。その半面、高血糖やインスリン自体に発がん性があることを示した研究もあり、結論は必ずしも明確ではないのです。

 そこへ昨年、これまでの研究を網羅して検討した論文がイギリス医師会雑誌に掲載されました。その報告によれば、乳がん、胆管細胞がん、大腸がん、子宮内膜がんの4つについて、糖尿病の患者さんで危険が高いことが示されています。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。