医療数字のカラクリ

治療は最小限の薬にとどめ空腹時血糖に一喜一憂しない

 これまで厳しい血糖コントロールの治療とそうでない場合とでは、合併症にどんな違いが出るかを見てきました。今回は、そもそも厳しい血糖コントロールの治療、緩い治療とは何を指すのかを見てみましょう。

 UKPDS33(「英国前向き糖尿病研究33」)において、血糖コントロールの厳しい治療グループとは「薬による集中的な治療を行う群」です。空腹時血糖108㎎/dlを目標に、インスリンや飲み薬を追加するという治療方針が貫かれました。

 その比較対象となったのが血糖コントロールが緩い治療群。空腹時血糖が270㎎/dlを超えず、口が乾くとか、尿が多いといった自覚症状が出ない限りは、薬での治療を行いませんでした。

 現在の糖尿病の診断基準では、空腹時血糖で110㎎/dl未満が正常、126㎎/dl以上が糖尿病と診断されます。その意味では血糖コントロールを厳格にした群は、血糖を正常レベルまで引き下げる積極的な治療だったことがわかります。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。