どうなる! 日本の医療

勤務医が危ない

 60人前後の医師が勤務するこの病院の当直は診療科目に関係なく、すべて2人当番制、月に5回あるという。当直で対応できない急患は非番の専門医が駆けつけるオン・コールが月に8~10回ある。

「この時は病院にすぐに駆けつける決まりなので、休日でも旅行はもちろん、夜はお酒も飲まずに自宅待機です」

 厚労省が定める過重労働の恐れの高い過労死認定危険ラインは残業4時間含め週労働時間約60時間、月残業時間80時間、労働時間240時間。しかし、この医師の場合は5回の当直だけで200時間、残りの日々を通常8時間としても月労働時間は300時間を楽に超える。過重労働ではないか、との質問に笑う。

「不満に思うドクターもいますが、僕はそうは考えていません。オペで患者を救える喜びもあるし、自分の勉強にもなる。ただ、若いうちからこんなに働いて毎晩コンビニ弁当だと、いつまで持つのかとの不安はあります」

3 / 4 ページ

村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。