医療数字のカラクリ

「生存率8カ月」と宣言され20年生きた生物学者

 その後、がんから生き延びたグールドは、2度にわたって自分自身の訃報に接します。間違った記事を書いた人は、生存期間の中央値が8カ月のがんになって、よもや何年も生きていると思わなかったのかもしれません。

 結局、グールドはがんを宣告された1982年の20年後に亡くなります。

 このことは、生存期間の中央値というのが個人にとってはほとんど役に立たない状況を明確に示しています。「メジアンはメッセージではない」の一文は、すべてのがん患者に読んでほしいものです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)、「逆説の長寿力21ヵ条 ―幸せな最期の迎え方」(さくら舎)ほか。