天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

血管が老化するとどうなるか説明しましょう

順天堂大医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 動脈硬化は心筋梗塞や狭心症といった心臓疾患の大きな原因です。しっかり対策してください。

 動脈硬化は、まず血管の拡張・蛇行から始まります。それを促す大きな要因が「高血圧」です。血圧が上がると、それを受け止めなければならない血管は拡張していきます。そうなると、血管が分岐している部分で血管同士がこすれてストレスがかかり、蛇行したり、血管内の堆積物がたまりやすくなるのです。

 血液中には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質などが含まれています。中でも、LDL(悪玉)コレステロールが多い「高脂血症」の人は、血液の粘りが増して血管の壁に脂質が付着し、動脈の弾力性が失われて硬くなったり、血管の内壁が狭くなって血液が流れにくくなります。この状態が動脈硬化です。

 血液が流れにくくなると、それだけ高い圧力が要求されるため、ポンプの役割がある心臓に負担がかかります。また、血管壁にLDLコレステロールが付着することにより作られる粥腫の崩壊によって血栓ができやすくなり、心筋梗塞などの心臓病のリスクが上昇するのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。