実際、アメリカでは患者のCT画像がハッキングで盗まれた事例が報告されている。沖縄で開かれた「日本医療情報学会」でもこの問題が取り上げられた。永田教授は今後の医療機器のセキュリティー危機の可能性をこう指摘する。
「例えば病院での患者のインスリン点滴量や抗がん剤量をコントロールする機器にハッカーが侵入、勝手に薬の量を変えることも可能です。そうなると人命にかかわる事態にもなりかねません」
ITセキュリティー問題のひとつ目の危機が医療機器のハッキングなら、ふたつ目は患者の個人データが盗まれるリスクだ。現在、医療革新の起爆剤として患者たちの膨大なデータの塊(ビッグデータ)が注目されている。しかし、これが患者情報流出の温床になりかねないのだ。
「カルテは匿名化され二重、三重のセキュリティーがかかっているためダイレクトに盗むのは難しい。しかし病名や入院期間など、ある程度の情報があれば、ビッグデータ内から特定され、その人物のカルテが盗まれる可能性は否定できないのです」
どうなる! 日本の医療