心機能が落ちている状態は、一般的に術後半年ほど続きます。そこから1年ほどで徐々に回復してきて、2年くらいでほぼ手術前と同じような状態に戻ります。ただし、治癒過程は患者さんによってさまざまで、切開した場所や癒着の具合、手術の種類などによって変わってきます。回復までに時間がかかる人は、それだけ心機能が低下している状態が長引き、脳梗塞を起こすリスクも高くなるのです。
■天皇陛下にも受けていただいた
そうした術後の心原性脳梗塞を防ぐためには、患者さんは血液を固まりにくくする抗凝固剤を服用しなければなりません。しかし、人工的に血を止まりにくくする薬は、何かアクシデントがあった時に重篤な状態になってしまうリスクが高いといえます。手術後、抗凝固剤を飲んでいた患者さんが転倒し、脳出血を起こして植物状態になってしまったケースもありました。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」