医療数字のカラクリ

診断技術がアップすると生存率が伸びる

 検査によって治療できるわけではありませんが、診断技術が進歩すると、がん患者の生存率が一見、よくなったようなデータが示されます。ちょっとややこしい話ですので、よく考えながら読んでください。

 例えばCTやMRIの検査によって、以前の検査より小さな転移巣が見つかるようになった状況を考えましょう。

 新しい検査で遠隔転移が見つかった患者は、がんのステージとしてはもっとも進行した段階である「ステージⅣ」に分類されます。しかし、この患者が以前の精度の低い検査で診断されたらどのようなことが起こるでしょうか。遠隔転移が見つからず、より進行度の低い「ステージⅢ」に分類されます。

 つまり、診断精度が低かった時代の「ステージⅢ」の一部は、診断精度が上がった今の「ステージⅣ」と同じなわけです。以前の分類ではより進行度の低いステージに分類される患者が、いまはより進行度の高いステージに分類されるので、同じ「ステージⅣ」を比べても、診断精度が上がった分、現在の「ステージⅣ」の患者のほうが生存率が高くなるわけです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。