心臓手術の場合は、前回も紹介した「リスクスコア」に基づいた判断が重要です。患者さんの状態によって手術の危険度がどの程度かを示す指数で、仮に「ユーロスコア」で20%を超えると、手術を受けたことによる死亡率は50%近くになってしまいます。
その患者さんに感染症があり、人工透析を受けていて、脳梗塞の既往があるような場合にはリスクスコアが50%以上となることが多い。手術を受ければ術後合併症なども含め、80%くらいが亡くなるほど高リスクになります。
患者さんが自分の身を守るためには、そうした客観的なリスクスコアをしっかり理解した上で、手術を受けるかどうかを選択すべきなのです。正しい手順を踏んでいる病院は、必ずリスクスコアを提示した上で、患者さんが自身のリスクを理解するまで細かく説明し、手術の同意をもらいます。逆に、そうした客観指数を出さないまま「すぐに手術をしなければ命が危ない」などと手術を勧めるような病院は、適応外のむちゃな手術をやりかねません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」