本当の危険は、血栓が剥がれて流れ出すことです。静脈は心臓に向かうほど太くなっているため、剥がれた血栓はそのまま血流に乗って心臓(右心房)に達します。右心房に入った血液は右心室に送られ、酸素補給のため肺動脈へと押し出されていきますが、血栓もこの流れに乗っていきます。ところが肺動脈は、次第に枝分かれして細くなっていくため、血栓は必ずどこかで止まって血流を妨げてしまうのです。
血液がある程度流れている状態を「肺塞栓症」、完全に塞がれてしまった状態を「肺梗塞」と呼びます。肺塞栓症の段階では、息切れや目まいなどが生じることはあっても、死亡することはめったにありません。しかし肺梗塞に至ると、呼吸困難に陥り、死亡することも少なくありません。エコノミークラス症候群は、これらを一緒にした呼び名ですが、マスコミなどではかなり肺梗塞に近いイメージで使われています。
問題は、エコノミークラス症候群の原因となる深部静脈血栓症のリスクが、血液型によって異なっていることです。数多くの研究から、「非O型(A型・B型・AB型の総称)は、O型と比べて1.5倍から3倍ほど、リスクが高い」ことが分かっています。
なりやすい病気は血液型でわかる