医療数字のカラクリ

「治験ボランティア」のカネとリスク

 薬の開発に欠かせない臨床試験(治験)の参加者とは、どんな人たちなのでしょう。まず、健常者を対象にする第1相臨床試験の参加者について説明しましょう。

 この第1相臨床試験の参加者は「治験ボランティア」と呼ばれます。

 新薬の開発に貢献するために、いまだ人間での安全性や効果が検討されていない「薬の候補となる物質」を、自らの意思で飲もうという人たちです。

 これまで紹介したフランスやイギリスの事件のように重大な副作用が起きるかもしれません。そうした危険を承知で自ら参加するわけですから、社会貢献度が極めて高いボランティアのひとつといえるでしょう。

 ただ、呼び名はボランティアですが、現実は少し違った面があります。「負担軽減費」といって、参加者にお金が支払われるからです。多くの治験は施設に泊まり込みで、24時間拘束を受けます。その負担の軽減のために支払われるお金という位置づけです。2泊3日で6万~8万円、7泊8日で14万~20万円というのが相場のようです。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。