薬の開発に欠かせない臨床試験(治験)の参加者とは、どんな人たちなのでしょう。まず、健常者を対象にする第1相臨床試験の参加者について説明しましょう。
この第1相臨床試験の参加者は「治験ボランティア」と呼ばれます。
新薬の開発に貢献するために、いまだ人間での安全性や効果が検討されていない「薬の候補となる物質」を、自らの意思で飲もうという人たちです。
これまで紹介したフランスやイギリスの事件のように重大な副作用が起きるかもしれません。そうした危険を承知で自ら参加するわけですから、社会貢献度が極めて高いボランティアのひとつといえるでしょう。
ただ、呼び名はボランティアですが、現実は少し違った面があります。「負担軽減費」といって、参加者にお金が支払われるからです。多くの治験は施設に泊まり込みで、24時間拘束を受けます。その負担の軽減のために支払われるお金という位置づけです。2泊3日で6万~8万円、7泊8日で14万~20万円というのが相場のようです。
医療数字のカラクリ