しかし、突然、病状が悪化して救急搬送される場合、患者側で病院を選べないのではないかという不安を持つ方もいらっしゃるでしょう。
都内であれば、心臓治療で一定水準以上のレベルにあると認められた病院が協力し、心臓トラブルで救急搬送される患者さんを確実に受け入れるためにつくられた「CCUネットワーク」や、そこを母体にする「急性大動脈スーパーネットワーク」といったシステムが整備されています。救急隊員が「心臓がおかしい」と判断すれば、そうしたネットワークに掛け合ってくれるため、患者さんは一定水準以上の施設に搬送されます。
■一定規模以上の総合病院なら安心
しかし、そうしたネットワークが整備されていない地方では、なかなかそうはいきません。
たとえば、心房細動で抗凝固剤「ワーファリン」を飲んでいる患者さんが、急に言葉を話しづらくなったときは、脳梗塞の可能性が高いといえます。その際、患者さんが医師から「心臓が原因になる脳梗塞がある」という説明を受けていなければ、それを救急隊に伝えることもできません。そうなると、脳梗塞だけを疑われて脳外科や脳神経内科が専門の病院に運ばれ、原因になっている心臓のトラブルの方は見逃されてしまう可能性もあります。脳梗塞の治療だけが行われた結果、心臓の方は病状が悪化してしまうことも考えられます。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」