「治療は簡単で、午前中にリツキシマブを、午後にゼヴァリンを上腕部から点滴を行うだけ。治療投与は1回だけです」
体の中に放射性薬剤を投入するだけに、大きな副作用をイメージしがちだが、そうではないという。
「ゼヴァリンが放つβ線は5ミリほどしか飛ばないため、大きな副作用はありません。投与後24時間以内のアレルギー症状のほか、悪寒、頭痛、発疹など、他の抗がん剤に比べても軽い方です」
■ジョーカーは“切り札”ではない
それにしてもなぜこの治療法が、“ジョーカー”と呼ばれるのか。
「この治療法は一生に一度しか使えないからです。一度使うと体内に抗体が出来て、薬剤を再投与すると異物として免疫組織から攻撃され、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるのです。そのため、このジョーカーをいつ切るか、が問題になります。最後まで切り札として取っておいたばかりに、効果的な投与タイミングを失うケースもあります」