“病は気から”に数々の研究報告 プラセボ効果はなぜ起こる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ニセと分かっていても効果があるということは、プラセボ効果は偽薬やニセ手術などだけで引き起こされるとは考えにくい。何によって起こるのか? 独協医科大学越谷病院こころの診療科の井原裕教授が言う。

「私は、治験に伴う“医師面接そのもの”が効いているのではないかと考えています。薬の有効性、安全性を調べるための治験は通常、数週間行われます。その間、被験者の方は、1、2週に1度、30分程度、担当医から“痛みはありませんか”“眠れましたか”などと聞かれます。毎週のように医師が一対一での丁寧な健康相談を行うわけです。こんな心強い経験は、誰にとっても初めてでしょう。その心理的効果が大きいと思います」

 08年の米国のプラセボ研究もこれを証明している。

 過敏性腸症候群の患者262人を対象とした研究は、「ニセのはり治療を施す群」と「順番待ちの待機群」に分け、前者をさらに「治療側と会話が全くない」群と「治療側が大げさに思いやりと共感を示した群」とに分けて行われた。

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