独白 愉快な“病人”たち

発症11年 囲碁棋士・木部夏生さん「糖尿病と対局」語る

「対局中のインスリン調整はいまだに難しいものです」と話す(C)日刊ゲンダイ

 血糖値測定器や注射器などのセットは常に持ち歩かなければならないし、一日何度も打つのは面倒だし、針はどんどん細く進化しているけれど、やはり痛くて痕も残る。でも、嫌だなと思うことはそのくらいで、病気で思い悩んだことはありません。

■「病気だからできない」と言われるのが嫌だった

 ただ、病歴11年目になっても、対局中のインスリン調整はいまだに難しいものです。実は、対局中の血糖値の上昇は、外から摂取したものによって上がるわけではないので、注射ではなかなか下がらないんです。人は集中するとアドレナリンが出て血糖値が上がります。200を超えると頭がボーッとしてきます。それを下げるためにインスリン注射が必要なのですが、そこで注射を打ち過ぎると集中や興奮が切れた途端に下がり過ぎて、低血糖状態になってしまうのです。なので、対局後に具合が悪くなることもあります。

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