独白 愉快な“病人”たち

診断に7年…漫画家・島津郷子さんとパーキンソン病の闘い

「また漫画が描けるようになったことがうれしかった」と語る島津さん(C)日刊ゲンダイ

■頭に電極を植え込む手術で震えが嘘のようになくなった

 でも、それは決して喜ばしいことではなくて、完治しない病気との闘いの始まりでした。治療は、薬とリハビリという対症療法です。全身に震えがくると座っても立ってもいられなくて、コップを持てば床に水をばらまいてしまうほど。薬で震えは止まるけれども、効力はどんどん短くなっていって、規定の頻度を超えてかなり頻繁に服用したこともあります。

 そんな頃、知り合いから聞いたのが「脳深部刺激療法」です。もちろん初めは「頭に電極なんて無理!」と思いましたよ。場所が脳だけに後遺症が残って、今より救われない状態になった場合の恐怖との葛藤もありました。でも、手術を受けた人の手記や笑顔の写真に背中を押されたのです。

 迷いながらも主治医に紹介状を書いてもらって、その手術ではナンバーワンといわれる医師のいる大学病院を受診しました。そして、08年の10月末に手術をしたのです。中には適性が合わず手術したくてもできない人もいると知って、チャンスに恵まれたことを幸運に思いました。

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