独白 愉快な“病人”たち

腎盂と膀胱がん経験 柳家権太楼さん「手術前日も落語」

周囲の人たちへの感謝を語った柳家権太楼さん(C)日刊ゲンダイ

 病気の後も、落語は一切何も変えていないつもりです。何か変化しているかどうかはお客さまが感じることですよ。ただ、ひとつだけ言えるのは「うまく聞かそう」とか「笑わそう」という思いは捨てました。出来が悪くても人の評価は気にしない。自分にプレッシャーをかけないことにしたんです。ストレスが一番いけませんから。そんな言い訳で治療中は禁じていたたばこもお酒も、今やすっかり復活しています。

 そういえばもうひとつ、病気をしたら大きな賞を立て続けにいただきました。病気が治って長生きしたことが落語へ影響したのって言えそうなのは、それぐらいかな(笑い)。

▽やなぎや・ごんたろう 1947年、東京都生まれ。大学卒業後の70年、柳家つばめに入門。74年、師匠他界により柳家小さん門下となる。75年に二つ目、82年に真打ちに昇進し三代目柳家権太楼を襲名する。2012年に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。13年には明治学院大学客員教授、落語協会監事就任ならびに紫綬褒章受章。「寄席の帝王」「爆笑派」として知られている。

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