合併症があったり、全身状態が悪い患者さんの場合は、手術によるダメージをできるだけ減らさなければなりません。心臓の手術が完璧だったとしても、持病が悪化したり、他の臓器にトラブルが起こるリスクがあるからです。術中の投薬を制限したり、出血量を減らすようにしたり、体温管理をより慎重に行うなどの対応が必要です。
さらに、そうした患者さんは、少しずつ難易度が高くなる条件が3つか4つ重なっていて、総合的に非常に難しくなってしまっているケースが多いといえます。もちろん、患部の手術そのものが技術的にものすごく難しい場合もありますが、大抵はやや難しい条件がいくつも組み合わさっているのです。
そのため、他の医療機関で手術を断られてしまった条件の悪い患者さんの手術は、メスを握る外科医だけでなく、看護師、麻酔科医、薬剤師といった手術室に入るスタッフ全員の高いチーム力が必要になります。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」