心臓の方はカテーテル治療が行われ、乗り切ることができました。しかし、足の方は両足ともバイパスを作り直さなければなりません。最初の手術で作ったバイパスはもう触れないため、今度はお腹を開き、腹部大動脈から両足の血管に、合計4カ所のバイパスを新しく作りました。前回の手術の影響もあり、とても大がかりな手術になってしまったのです。
2度目の手術も成功し、足の脈もきれいに表れるようになりました。ただ、患者さんには大きな負担を強いることになりました。
振り返ってみると、心臓の方は最初の手術でエビデンスにのっとったバイパス手術を行っていたので、狭心症が再発してもカテーテル治療で乗り切ることができたといえます。しかし、足の方はそうではなかったため、大変な状況下での再手術を招いてしまったのです。
手術を行う際は、大規模データによって治療効果が確認されている、エビデンスにのっとった方法を選択しなければならない。
その患者さんは私に、それをはっきりと教えてくれました。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」