しかし、老体に建設現場の仕事はきつい。60代後半で引退。夫婦2人だけの生活を楽しんでいた。
「5年前、いきなり、首の左側に、自然に隆起したようなピンポン球大のコブが出来たのです。触っても押しても痛くない。私は長いこと鼻炎の持病を持っておりましたから、原因はこれかなと軽く思っていました」
■医師は4通りの治療法を提示
妻から強く勧められ、自宅から近い「賛育会病院」(墨田区)を訪ね、耳鼻咽喉科の診察を受診した。
問診の後、鼻から内視鏡を挿入された。モニターを見ながら医師が、「『上咽頭がん』が疑われます。急ぎ大きな病院で精密検査を受けてください」と告げた。たまたまその医師が「東京医科歯科大学」から出向していたことから同病院を紹介され、翌日高橋さんは妻と同伴で訪ねた。
末期がんからの生還者たち