末期がんからの生還者たち

上咽頭がん<3>「強靱な体力のおかげで副作用から逃れた」

高橋節男さん(C)日刊ゲンダイ

 東京・錦糸町に住む高橋節男さん(76)は2012年4月、「東京医科歯科大学・耳鼻咽喉科」(御茶ノ水)の確定診断で、「上咽頭がん、ステージ4」の告知を受けた。すでにリンパ節にも転移しており、ステージ4は病期(1~4段階)の末期である。

 すぐに入院し、ステージ4の基本治療といわれる「IMRT」(強度変調放射線治療)や定位照射治療を含むX線による外部照射治療を受けた。「毎日約30分の放射線治療で、治療中は寝たままの不動の姿勢です。痛みもなにもありませんが、ただ、ゴーッという静かな音が聞こえていましたね」

 入院棟病室に戻ると、点滴による抗がん剤治療を受けた。こうした治療の繰り返しが1カ月間、休むことなく続く。1カ月後、MRIなどの精密検査を受け、担当医師から「がん細胞はずいぶんと小さくなっています」との朗報を受ける。

 治療は2カ月目に突入し、毎日の放射線治療も5日に1回になった頃、ようやく退院の許可が出た。担当医師から「今後は通院して放射線治療を受けてもらいます」と言われ、自宅から近いJR錦糸町駅から、病院がある最寄り駅の御茶ノ水駅まで通院することになった。

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