その状態で手を動かすと一時的に意識を失う可能性が高くなる。椎骨動脈は肩口から先の手(上肢)に血液を供給する鎖骨下動脈から枝分かれしているからだ。
「椎骨動脈を圧迫した状態で手を動かすと、本来なら脳に行くべき血液が上肢に流れる盗血現象が起き、脳に血が通わなくなるのです」
それでなくても動脈硬化が進んでいる中高年は心臓から遠い左鎖骨下動脈が狭窄しがちで、左腕がしびれたり、冷たくなるなどして掃除中はバランスを失いがちだ。
「この姿勢が恐ろしいのはその直後です。首を上げた状態を続けていると椎骨動脈に血栓ができる場合があります。姿勢を戻し、血流が戻ると、首にできた血栓が脳に勢いよく飛んで脳梗塞を起こすことがあるのです」
掃除中に高い所から落ちたり、転んだりして頭を打てば傷だけではすまない。頭蓋骨と脳を包む硬膜がぶつかり合って毛細血管が切れ、その隙間に血がたまる硬膜外血腫や、硬膜と脳の間に血がたまる硬膜下血腫を発症する可能性も。