天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

日本で研修を受けている外国人医師は母国の「これからの医療」を支える人材になる

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 研修の期間は長い場合で5年、短い場合は1年ほどで帰国します。母国から学費などの援助を受けて来ている場合はひとまず1年で帰ったあと、再び来日して1年……といったサイクルを繰り返す勤勉な医師もいます。

 先ほども言いましたが、日本の医師国家試験はハードルが高いので、日本に残って医師免許を取得してそのまま日本で医師になるケースはほぼありません。

 つまり、いずれは帰国して母国で医師になるわけです。

「日本で研修を受けた」「日本で博士号を取得した」といった経歴があれば、それだけで学術的な評価が高まるばかりか、信用度が格段に上がるという国がたくさんあるのも事実です。

 ただ、もちろん彼らがそれだけを目的にしているわけではありません。日本まで研修を受けにくる外国人医師は、いずれ日本と同じような疾患や患者が多くなるだろうという“空気”を読むことができている人材ばかりです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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