当時、唯一といっていいくらいの若い患者さんだったので、20年にわたってずっと成長を見守ってきたような感覚です。かわいらしい女の子から若奥さまになり、いまはすっかり“おっかさん”になっています。
こうした患者さんとの長いお付き合いは、医者だからこそありえる関係だといえるかもしれません。小児の先天性の心臓疾患を治療する小児外科の医者となると、20年どころか、40年、60年といったお付き合いになることもあります。とりわけ心臓疾患は、しっかり治せば患者さんは長生きできるようになるので、自然とお付き合いが長くなるのです。
病気を治した患者の人生に付き合っていく。これも医者のひとつの道だといえるかもしれません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」