天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

患者の長い人生に付き合っていく 医者としてのひとつの道

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 当時、唯一といっていいくらいの若い患者さんだったので、20年にわたってずっと成長を見守ってきたような感覚です。かわいらしい女の子から若奥さまになり、いまはすっかり“おっかさん”になっています。

 こうした患者さんとの長いお付き合いは、医者だからこそありえる関係だといえるかもしれません。小児の先天性の心臓疾患を治療する小児外科の医者となると、20年どころか、40年、60年といったお付き合いになることもあります。とりわけ心臓疾患は、しっかり治せば患者さんは長生きできるようになるので、自然とお付き合いが長くなるのです。

 病気を治した患者の人生に付き合っていく。これも医者のひとつの道だといえるかもしれません。

4 / 4 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事