認知症だと思っていたら肝性脳症 その症状と検査法を知る

1月に岡山で起きた事故現場(C)共同通信社

「ただし、これらは肝臓専門医が管理している状況では行われますが、現実には実施されずに肝性脳症が見落とされているケースも多い」

 肝硬変は前述の通り、慢性肝炎から徐々に進行して発症する。その原因はC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、アルコール。さらに近年は、肥満などアルコール以外の原因が関係して発症する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)も問題視されている。

 いずれも定期的に健康診断などで肝機能のチェックをしていれば分かる疾患だが、「分かっていたが無症状なので放置していた」「そもそも知らなかった」という人も珍しくない。認知症を疑う症状があり、肝機能の状態を把握していないなら、検査を受けるべき。

 肝性脳症が判明すれば、認知症と違い、薬でコントロールできる。筋肉でのアンモニア代謝を促すBCAA(分岐鎖アミノ酸)、または腸管の中でアンモニアの産生を抑える合成二糖類、または腸管内のアンモニアの産生を抑える難吸収性の抗菌薬だ。難吸収性は、肝硬変の診療ガイドラインの中の「肝性脳症を改善するか」というクリニカルクエスチョン(臨床的課題)に対し、最も高いエビデンスレベルAに位置付けられている。

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