クスリと正しく付き合う

皮膚がただれて剥がれ落ちる副作用はさまざまな薬で表れる

 SJSも重症な薬疹のひとつですが、TENと比べて症状の範囲が狭いのが特徴です。しばしば口唇に血液の混じったカサブタがつくような潰瘍ができたり、目や口唇などの粘膜症状が強く、特に目の粘膜の症状が強い場合には、後遺症を残すこともあります。

 症状の範囲が広いのがTENで、比較的狭い(水疱など皮膚が剥がれた面積が10%以下)のがSJSということです。いずれも激しい症状が表れるので、入院してやけどの治療に準じた処置が行われます。

 原因となる薬は、痛み止めなどの消炎鎮痛薬、抗菌薬、抗けいれん薬、高尿酸血症治療薬などさまざまで、時には総合感冒薬(風邪薬)でも表れるケースもあり、特に注意すべきものを挙げるのは難しいといえます。

 ただ、TENやSJSの副作用が出るのは交通事故に遭うより低い頻度で(TENの場合、毎年100万人当たり0・4~1・9人ほど)、過度に心配する必要はありません。まれなケースとはいえ、そうした重篤な薬疹を避けるためには、用量や用法などを守って薬を適正に使用することが大前提で、受診時の「アレルギーはありますか?」といった簡単な問診に、きちんと答えることが大切です。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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