体内に残されたガーゼは、徐々に周囲と癒着して修復組織が入り込んだ結果、腫瘍のように居座って慢性の痛みや癒着する臓器の障害を来すようになります。これは「ガーゼオーマ」と呼ばれ、臓器にがっちり癒着して摘出が難しくなってしまう場合もあります。場所によってさまざまですが、腹痛、便秘、吐き気といったつらい症状が表れたり、壊死や穿通などの合併症を引き起こす可能性もあるのです。
ガーゼの置き忘れを防止するため、いまはX線で確認できる糸を織り込んだタイプのガーゼが広く使われています。レントゲンに写るため、術後に撮影を行えば置き忘れがないかどうかを確認できますし、ガーゼの枚数が一致しなかった場合は、どこに置き忘れたかをすぐに特定できます。
■一度だけ縫合針を置き忘れたことが
さらに、最近はガーゼ一枚一枚にGPSチップを埋め込んだタイプも登場しました。スマートフォンのGPS機能のように、モニターでかなり狭い範囲までガーゼがどこにあるのかを確認できます。置き忘れを防止するための最新の技術といっていいでしょう。
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