Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

東てる美さんTV企画で判明 肺腺がんは早期発見でほぼ治る

東てる美さん(C)日刊ゲンダイ

 がんは大変な病気と思われるかもしれません。がんが重い症状で患者さんや家族を苦しめるのは末期になってからです。東さんのように早期で発見できれば、症状はなくて悪さをしません。ほとんど治ります。

 5年生存率は、肺がん全体でステージ1が約82%で、それが東さんと同じ肺腺がんのステージ1ならさらに良く、約89%です。肺がんは検診の受診率が低く3割ほどで、残念ながら7割は手術ができない状態で見つかりますが、東さんのように症状を頼りにせず、きちんと検診を受けて早期発見できれば、治る可能性が高いのです。

 特に肺腺がんはこのところ増えていて、肺がん全体で男性は4割、女性は7割を占めますが、肺腺がんはX線で見つかりやすく、検診を定期的に受ける価値は十分あります。昨年、肺腺がんであることを公表した歌舞伎役者の中村獅童さん(45)は毎年、人間ドックを受けていることで、「奇跡的といわれるほどの早期発見」だったそうです。手術で完治しています。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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