前立腺がん手術後 尿のじゃじゃ漏れ防ぐ唯一の治療法とは

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■人工括約筋埋め込み術で劇的に改善

「尿漏れの治療には、骨盤底筋体操、膀胱訓練、抗コリン薬などの薬物療法がありますが、前立腺がんによる重度の尿漏れには効きません。唯一の治療法が人工括約筋埋め込み手術になります」

 人工括約筋埋め込み手術は、前立腺がん術後、1年ほど経過した辺りから検討される。手術は全身または腰椎麻酔下で、会陰部と下腹部を5センチほど切開し、人工括約筋を埋め込む。

 手術時間は、増田科長のようなベテラン医師で60~80分。入院期間は約1週間だ。

 人工括約筋は、「尿道を圧迫する液体が入ったカフ」「陰嚢内に留置するコントロールポンプ」「圧力調整をするバルーン」の3つのパーツで構成され、これらはチューブでつながっている(図参照)。

 埋め込み後6~8週間経ってから使用可能だ。カフは尿道の周りに巻き付いて、拡張期血圧(下の血圧)よりやや低めの70㎜Hg程度の圧力で、尿道を圧迫し、尿が漏れないようにする。排尿時には、ポンプを陰嚢の外から押す。するとカフのチューブの液体がチューブを介してバルーンへ移動し、尿道にかかる圧が弱まり、排尿できる。

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