意外に知らないホルモンの実力

【パソプレッシン】尿量の調整など重要な役割を果たす

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「尿崩症には原因不明(特発性)もありますが、約60%は下垂体の腫瘍などの病気や脳外科手術のダメージによって起こるパソプレッシンの分泌不全です。また、脳腫瘍や脳卒中などの影響で過剰分泌を起こすと『ADH不適切分泌症候群(SIADH)』になる。この病気は、体内に不必要に水がたまり、水中毒(低ナトリウム血症)を引き起こします」

 治療では、尿崩症にはパソプレッシンと同じような働きをする薬を使い、SIADHにはパソプレッシンと腎臓の受容体との結合を妨げる薬が用いられている。

 パソプレッシンは男性ホルモンが増えると分泌が高まる関係性があり、男性の脳に対する作用には感情的に「縄張り意識を高める」「仲間以外への攻撃性を高める」といった男性仕様の働きをするとされている。そして面白いのは、男性の家庭生活に関係している可能性があることだ。

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