造血幹細胞の大量培養は白血病治療をどこまで進化させるか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■大量の抗がん剤を投与しなくて済む可能性も

「今回のマウスの造血幹細胞を用いた実験では、PVAを使うと数カ月にわたって造血幹細胞が未分化な状態のまま増幅培養させることができ、1個の造血幹細胞から複数の個体への移植が可能であることもわかりました。これがヒトに応用できるようになれば、これまでのようにドナーの骨髄から必要な量の造血幹細胞を採取しなくてもわずかな採血で十分な量を培養できるので、それだけ多くの患者を救えるようになるでしょう」(佐々木氏)

 また近年、患者に造血幹細胞を大量に移植すれば、事前に抗がん剤や放射線を使ってがん化した白血球を含む血液細胞を殲滅しなくても効果が期待できるという報告がある。造血幹細胞の大量培養によって、患者が強力な抗がん剤や放射線による副作用と闘わなくても済むようになる可能性もあるのだ。

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