ある市の市議会議員の奥さん(当時56歳=胆のうがんが肝臓転移)が、某病院から転院を希望されて来院されました。私が「当院でお引き受けいたしますが、他の患者さんと同じように対応させてください。特別扱いはできません」と伝えると、「他の患者さんとまったく同じで結構です」とお答えになりました。
ところが入院時、担当医は、議員である夫から「もしもの時のために先生の携帯電話番号を教えてください」と言われたそうです。その担当医から「携帯番号を教えなければならないでしょうか?」と聞かれ、私は「教える必要はない。他の患者さんと同じでよい。特別扱いはしない。それで了解されています」と答えました。
がんの分野だけではありませんが、治療は外来が主になっています。それもあって、患者は「自宅で何かあった時のために担当医の携帯電話番号を聞いておきたい。そうすれば安心できる」と思われるのでしょう。
がんと向き合い生きていく