がんと向き合い生きていく

携帯番号は教えていなくても医師は患者をいつも気にしている

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 いずれにしても、「携帯電話番号を教えてくれないから不親切」と言われるのは、患者のわがままかもしれません。携帯番号は教えていないけれど、医師はあなたのことがいつも気になっていて、何かあればすぐに対応できます。それを「お互いに理解し合えている」という関係が大切です。

 担当医のメールアドレスを知りたいという患者もおられます。また、どこかで調べられてメールが届く場合もあります。病状などについて、メールでのやりとりは必ずしも勧められません。実際に「次回の外来で説明します」と返事をしたことがありました。

 また、ある時、「苦しい、たすけてー!」というメールがあり、それを翌日の夜遅くなってから見つけて、びっくりしたことがあります。状況が分からないのに書かれた文章だけで判断して返事をすると、間違った答えになってしまう恐れもあるのです。

4 / 5 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事