進化する糖尿病治療法

健診で異常なく痩せているのに…血管年齢が高い人のナゼ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 2人そろって50代のご夫婦は、「健康診断の結果で“異常あり”はなかったけど、血管年齢はどうかと思って」ということで、自費でCAVIとABIを受けたそうです。

 ダンナさんはやや太り気味。専業主婦の奥さんはどちらかというと痩せ形で、区の健診を何年かに1度受けているとのことでした。

 血管年齢の結果は、ダンナさんは年齢相応。一方、奥さんは動脈硬化の進行が結果から読み取れました。「痩せているのに、私がまさか?」と驚いたと、奥さんは言います。

 話を聞くと、奥さんのいびきがすごくて、5年ほど前から寝室を分けているそうです。奥さんが睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を受けたところ、重症のSASが判明。SASは眠っている間に呼吸が止まる病気で、10秒以上の気流停止である無呼吸が1晩に30回以上、もしくは1時間当たり5回以上あれば診断されます。SASは、糖尿病、高血圧、脳卒中・脳梗塞、心房細動などのリスクを何倍も上げることが報告されています。動脈硬化にも悪影響を与えますが、SASを疑って検査をしないと、判明しないケースも少なくありません。

3 / 4 ページ

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

関連記事