ストレス社会の生き延び方

依存症リスクを判断 あなたは2週間断酒しても平気ですか?

お酒はほどほどに

 奥さんをはじめ、周囲はほとんどさじを投げていた。ところが、ある日、みぞおちに杭を打たれたような激痛に襲われた。

「あの時はホント死ぬかと思いました」とAさん。急性膵炎だった。

「二度とあの痛みは経験したくありません。それに『今度、入院したら知らないから』と妻から言い渡されたこともあり、お酒をやめることにしたんです」

 少しでも飲むと深酒になることを自覚していたAさんは、きっぱりと断酒。すでに3年が経つのだという。

「アルコール依存症の唯一の治療法は断酒であり、節酒ではありません。状況により治療方法はさまざまで、離脱・断酒、酒害教育、抗酒剤などの薬物療法、心理社会的治療(カウンセリング)などがありますが、一番大切なのは、Aさんのように本人の意思といえるでしょう。ある意味、麻薬などの中毒症のそれと非常に似ています」

 手遅れになる前に、酒との付き合い方を見直したいものである。 =構成・中森勇人

(おわり)

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武神健之

武神健之

東京大学医学部大学院卒。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。年間1000件の健康相談、ストレス・メンタルヘルス相談を行う。著書に「職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書 上司のための『みる・きく・はなす』技術」(きずな出版)などがある。

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