生活と健康 数字は語る

統計学的に有意に減少している…とは客観的な解釈なのか

喫煙者は減っているのか(C)日刊ゲンダイ

 検定推定統計の解釈は「ここ10年の男性の喫煙率は有意水準5%で統計学的に有意に減少している」などと、いかにも正しそうな表現で書かれます(ちなみに「有意」とは確率的に偶然とは考えにくく、意味があることを指す。「有意水準」とは統計上、ある事象が起こる確率が、偶然とは考えにくいと判断する確率のこと)。

 となると、そこには主観が排除されて、客観的にも真に減少していると思いたくなります。

 しかし、ここにも実は「ルール」があります。有意水準5%と書きましたが、これは「ルール」のひとつです。それが本当に客観的だと言えるルールなのか、しばらく連載の中で考えていきたいと思います。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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