■自分自身の脈を感じてしまう場合がある
ショックなどで血圧が下がった状態では脈が触れにくくなります。この時、手首の橈骨動脈を探していて、患者さんの脈が分からず、間違えて自分自身の脈を感じてしまう場合があるのです。今回、患者さんはすでに亡くなられて脈がないのに、Mさんは自分の脈を感じてしまったのです。
脈の取り方には正しい方法があります。まず、人さし指、中指、薬指の3本で指を強く押したりしながら、手首の橈骨動脈を探し当てます。その後、脈の強弱、1分間に何回か(脈拍数)、不整脈があるかどうかをみます。脈の乱れは心房細動や期外収縮などで起こり、正確なことは心電図で明らかになります。自分の脈を取ってみて、不整脈がある場合は循環器科の受診を勧めます。
中国の医学(漢方)では、脈の勢い、硬さ・柔らかさなどから体全体を診るといわれます。尊敬する先輩から、脈で体が酸性血症(アシドーシス)かアルカリ血症(アルカローシス)かが分かると教えられましたが、これがなかなか難しいのです。
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