がんと向き合い生きていく

「決まりなのでできません」抗がん剤を拒否され言葉を失った

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 Gさん(48歳=会社員)は、1カ月前から食欲がないことと、両足がむくんできて靴が履きにくくなり、心配になって近所の内科・消化器科のE医院に行きました。診察した医師からは「血圧と心電図は問題ありません。血液と尿の検査をして、その結果は明日の夕方に出ます」と言われました。

 翌日の夕方に結果を聞きにいくと、「腎機能検査のクレアチニン値が1.6と少し悪くなっています。尿検査は問題なく、CEAなどがんの腫瘍マーカーは正常です。明日は土曜日ですが、胃の内視鏡検査をして、胃が大丈夫なら腎臓内科がある病院を紹介しましょう」とのことでした。

 その土曜日、内視鏡検査を受けた直後、Gさんは突然、告げられました。

「スキルス胃がんが疑われます。Aがん病院に紹介状を書きましょう」

 Gさんはもちろん、診察の結果を聞いた奥さんも気が気ではありません。Aがん病院の診察予約は7日後で、それまでの間に腹部が張ってきた感じがして、ご飯は茶碗1杯を食べるのがやっとでした。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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