Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

小笠原早紀さんは早期復帰 舌がんは口内炎放置が要因にも

小笠原早紀さん(本人のツイッターから)

 そうやって早期に見つけることができたら、ラッキーでしょう。部分切除なら、術後の食べにくさやしゃべりにくさがあっても体の負担は少ないですし、何より切らずに済む放射線療法が可能です。

■セックス後は歯磨きとうがいで予防

 舌に放射線を出す針を刺したりする治療法の小線源療法がそれ。舌の機能が保たれるので、生活の質が損なわれることがありません。これはとても大きな魅力です。

 手術や放射線治療の後は、治療部位が硬くなって動きにくくなったり、突っ張ったりします。傷口の状態が落ち着いたらすぐにストレッチを始めること。小笠原さんが語っている「リハビリ」とは、恐らくストレッチのことでしょう。“痛気持ちいい”くらいの強さで続けるのがコツです。

 舌の奥にできる舌根がんは中咽頭がんに属し、中咽頭がんの6割がオーラルセックスによるHPV感染が原因で、舌がんも1割がHPV感染が原因といわれます。セックスの後の歯磨きやうがいは、口腔がんの予防になるのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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