Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

小笠原早紀さんは早期復帰 舌がんは口内炎放置が要因にも

小笠原早紀さん(本人のツイッターから)

 舌がんを含む口腔がんのリスクは飲酒と喫煙のほか、虫歯で欠けた歯や合わない義歯・入れ歯、悪い歯並びなどを放置したことによる慢性的な刺激がよくありません。その刺激が口内炎を起こして、平均10年という長い期間を経てがん化するのです。

 口内炎はせいぜい10日で治ります。2週間以上続くときは舌がんを疑って、大きな病院の耳鼻科を受診するのが無難。口腔がんは、頭頚部がんに含まれるため、耳鼻科が専門に扱うのです。

 舌がんは、専門医が診れば比較的容易に診断がつきますが、一般の歯科医は舌がんなど口腔がんの知識に乏しく、誤診されることもあります。堀さんも、かかりつけの歯科医に見逃されています。歯科にかかるなら、口腔がんの治療に詳しい口腔外科がベターです。

 舌がんは、舌の両脇にできることが多く、先端や中央の表面はまれ。舌を突き出し、親指と人さし指で舌の両側を触ってみるとセルフチェックになります。1カ月に1回触れてみて、硬いものを感じたらすぐに受診しましょう。舌がんは、乳がんと同様に自分で見つけられるがんです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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