東大医学部卒の教授が語る 5年後治る病気・死ななくなる患者

2019年から「がんゲノム医療」が始まった(C)日刊ゲンダイ

「多くのがんが、死なない病気になるのは間違いありません。すでに手術や放射線、抗がん剤など確立した治療法の組み合わせで治るがんは増えていて、がんの特徴的な構造に注目し、そこを攻撃する分子標的薬の登場で個別のがん種に対応できるようになりました。さらに、人間が元来持つ免疫力を目覚めさせ、これまでがんを敵と認識していなかった免疫力に改めて頑張らせる免疫チェックポイント阻害剤が加わり、寛解するがんが増加しています。なかでも劇的に改善する可能性が高いものの代表格は膵がんです。10年相対生存率(がん以外による死亡を除外したもの)が80%以上の前立腺、甲状腺、子宮体、乳がんなど加え、大腸、胃がんは治る病気に入っていくと考えられます」

 実際に臨床の現場にいる患者や医師は「そんなに単純な話ではない」と言うかもしれない。しかし、今年4月に公表された、がん全体の10年相対生存率は56・3%。2002~05年の新規がん患者約7万人を対象とした数字(別表)。免疫チェックポイント阻害剤オプジーボが日本で保険適用されたのは14年で、個人のあらゆるがん関連遺伝子を調べて患者個別治療を目指す「がんゲノム医療」が始まったのは今年から。本人の免疫細胞を遺伝子改変して体内に戻してがん細胞を攻撃させるCAR―T療法が血液がんを対象に始まったのも今年だ。

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