進化する糖尿病治療法

超便利な世の中到来で“普通”の生活が肥満を招く

糖度の高い果物も血糖値を上昇させる(C)日刊ゲンダイ

 スーパーに買い物に出掛けて、両手に重い袋を提げて帰る……というのも最近は回避可能です。多くのスーパーで宅配サービスを行っていますし、これまたインターネットで取り寄せることもできます。

 外食だって、「ウーバーイーツ」という便利なサービスのおかげで、外に出掛けなくてもOKです。今や買いだめしていなくても、さまざまなサービスを駆使すれば、自宅からほとんど出ないで過ごすことは可能なのです。ただでさえ少ない活動量が、より一層少なくなっていきます。今後、ドローンの買い物代行などが普及したら、どうなるのでしょう。高齢者や歩行が困難な障害者、公共交通網が発展しておらず自宅近くに買い物できるところがない場所に住んでいる人にとっては素晴らしいサービスですが、健康な人にとっては、その便利さが生活習慣病のリスクを高めることにつながりかねません。

 糖尿病の患者数は、厚労省の「2017年患者調査の概況」によれば、過去最多の328万9000人。08年以降、増加の一途をたどっています。特別なことをしていない、“普通”に生活しているだけでも糖尿病をはじめとする生活習慣病を発症しやすい現状を考えると、仕方のない結果なのかもしれません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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