進化する糖尿病治療法

ダメばかりは長続きしない 悪いことを重ねないが重要

東京慈恵会医科大学の坂本昌也准教授(C)日刊ゲンダイ

 コース料理のデザートは、店の人に頼んでパス。日々の朝食と昼食は軽いものにし、「昼に揚げ物」「昼に一品もの(丼や麺類だけ)」なんてことは絶対にせず、基本は定食でご飯少なめ。間食はなし。

 数少ない自宅での食事の日は、豆腐、大根おろし、作り置きしている鶏の胸肉で作ったハムや野菜の煮物、刺し身などあっさりしたメニューにする。毎朝ジムに通い、有酸素運動と無酸素運動を日常的に行う。体重、BMI、体脂肪率は定期的にジムでチェックし、変動したら食事量を減らすなどすぐ対応する。結果、毎年の健康診断では、肝機能も含めてすべての数値が良好。

「20代の頃に何も考えずに好きなだけ食べ、好きなだけ飲んでいたら数キロ太った。その時に反省し、いろいろ試してみて、今の形になった」(A子さん)

 本来は、A子さんの食生活は決して褒められたものではありません。外食は塩分が多く、カロリー摂取量も過多になります。アルコールを連日飲めば、肝臓に負担をかけます。

 だから、せめて外食は週2~3回に抑え、きょう飲んだら、あすは休肝日を設けてほしい。

 しかしそれができないなら、食生活がよくないことを自覚した上で、自分ができる範囲で対策を講じることが必要でしょう。まさに「悪いことを重ねない」です。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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